ルー・リードへの短い追悼文

近頃はニュースに疎くて、数日前にやっとルー・リードの死を知る。受験浪人のみじめな時期に浴びるように聴いていた。傑作「New York」はリアルタイムだったし、「Songs for Drella」の来日公演も観た。いかがわしく、皮肉に満ち、傲岸な、あの声音。とりわけ「Coney Island Baby」とそのタイトル曲が好きだった。今聴き返してみて、改めて名作である。
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告白の歌であり、聴き手へ語りかける形も取りつつ、己の半生をうまく描いている。堅物で嫌われるコーチのためにフットボールに取り組もうとする真面目なハイスクール時代、想像とは似てもつかない人生を憎悪し、愚行を繰り返しながら大人になり、そんな自分の全てを新しい恋人へ捧げる、と。丘の上のプリンセス(純朴な娘への裏切り行為が仄めかされている)と、何かサーカスやドブのようなおかしな場所である都会を、愛の栄光にかけて対照するあたりが、ルー・リードなんだな。

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